古物商許可とは古物営業をするために必要な許可です。
転売益を目的としたせどりや営利目的でネットオークション・フリーマーケットを利用する場合は、古物商許可証を取得しなければいけません。
個人間での物々交換や譲渡には古物商は不要ですが、古物商許可を取得しないまま古物取引をすると無許可営業とみなされ、「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられることもあります。違反すると営業停止となり、古物商の資格を5年間とることができません。
さて、以下で古物商許可が無いとできないこと、許可がなくてもできることをそれぞれ説明していきたいと思います。
①古物商許可が無いとできないこと
- 買い取った古物を売る
- 買い取った古物を輸出する
- 古物を修理して販売する
- 預かった古物を販売し、手数料をもらう
- 古物を他のものに交換する
- 買い取った古物をレンタルする
- インターネット上で古物の売買レンタル・修理をする
〈買い取った古物を売る〉
買い取った古物を売るときは古物商許可が必要です。
買取を行う場所は法律で決められているため、ルールを守らなければいけません。
以前まで古物を買い取る場所は営業所か取引相手の自宅に限られていましたが、古物営業の規制緩和によって、届出をすればデパートの催事場や公園等の仮設店舗でも古物の買取ができるようになりました。
営業所、取引相手の自宅、仮設店舗以外の場所で古物を買取をすると、1年以上の懲役または50万円以下の罰金に科せられることがあるので注意が必要です。
〈買い取った古物を輸出する〉
国内で買い取った古物を海外に輸出する場合も、古物商許可証を取得しなければいけません。法律の適用範囲かどうかで、古物商の有無が決まります。
取引相手が国内にいる場合、たとえば国内の輸入業者が輸入した古物を買い取る際も、法律の適用範囲に含まれるので古物商の許可が必要です。
しかし、海外で購入した古物を日本で売る場合は、取引相手が法律の適用外となるので古物商はいりません。海外の業者と直接取引する場合、警察署に相談する必要があるので、事前にHPなどで規定を確認しておく必要があります。
〈古物を修理して販売する〉
買い取った古物を修理して販売する際も、古物商の許可が必要です。
古物は一度使用したものを表すので、修理したものを販売するケースも古物営業に該当します。ただし、誰かからもらった商品を修理して売る場合は、古物商の許可は不要です。
〈預かった古物を販売し、手数料をもらう〉
古物営業法第2条第2項により、預かっていた古物を売って手数料をもらう際も、古物商許可証の取得が義務付けられています。
〈古物を他のものに交換する〉
古物を交換することも古物営業にあたります。お金のやりとりが発生しない場合でも、盗品が紛れ込む可能性があるため、古物商の許可が必要とされています。
ルールを無視して古物の交換をすると、罰則を科せられる可能性がありますが、営利目的以外で古物を交換することは個人間の自由です。
〈買い取った古物をレンタルする〉
買い取った古物をレンタルするにも、古物商許可証の取得が必要です。
ただし新品の商品をレンタルする場合、古物商の許可はいりません。一度誰かが使用した商品は古物となりますが、レンタルならば所有権の移動がないので古物営業法の対象外となります。
〈インターネット上で古物の売買レンタル・修理をする〉
上記で紹介してきたような古物の売買・レンタル・修理・交換をインターネット上でするときも例外ではありません。
店舗がなくても必ず古物商の許可が必要になるため、無店舗型の営業を検討している方も、古物商を取得してから事業を始めましょう。
②古物商許可が無くてもできること
- 自分の持ち物を売る
- 自分の持ち物をオークションで出品する
-
料金を受け取って回収した相手の持ち物を売る
〈自分の持ち物を売る〉
自分の持ち物を売るときは、古物商はなくても問題ありません。
自分の持ち物とは「自分が所有権を持っている物」を指します。
自分で持っていても一時的に他の人から借りている物や、預かっている物を販売することはできません。本人の許可なく他人の所有物を売ってしまうと、横領罪に該当する可能性があるため、注意が必要です。
〈自分の持ち物をオークションで出品する〉
自分の持ち物をオークションへ出品するときも、古物商は不要です。例えば、ヤフオク!・メルカリといったアプリで自分の持ち物を売る分には、罰則の心配はいりません。
ただし、古物転売を目的としてヤフオク!・メルカリを使用する場合は、古物商許可を取得する必要があります。無許可営業の疑いをかけられると警察が過去の取引内容を調査し、転売目的かどうか判断します。
〈料金を受け取って回収した相手の持ち物を売る〉
相手から手数料を受け取って回収した古物を販売する場合、古物商は不要です。古物商の許可は盗品の売買を防ぐための規定です。
盗んだ物を売却せず、処分するためにわざわざ費用を払う可能性は低いといえます。そのため、費用を取って回収した物を売る時は許可がいりません。
古物の売却でも古物商がいらないこともあるということを頭に入れておきましょう。
【まとめ】
今回は、古物商許可が必要なケースと不要なケースをご紹介しました。
古物営業の際に古物商許可証の取得を定めているのは、犯罪の防止と社会秩序の維持が目的です。身元を証明せず売買ができるようになると、盗品の流通が増えたり、偽ブランド品の取引が横行したりします。
古物の売買を規制しなければ、犯罪を助長する恐れがあるので古物営業法で細かくルールが決められています。ただし、自分の持ち物は古物商の有無を気にせず自由に売ることができるので安心してください。