飲食店営業許可についてのあれこれ
新たに飲食店や喫茶店を営業しようとする場合には、食品衛生法に基づく飲食店営業許可が必要です。
店の内装がほぼ完成した段階で保健所による現地検査があり、この検査に合格すると数日後に飲食店営業許可証が交付されます。
開業間近で営業許可をとるためには、内装工事概要が決まった段階から保健所と事前協議を進める必要があります。
そこで今回は、飲食店営業許可に関するあれこれをご紹介します。
1.営業許可一覧
食品に関する許可と一口に言っても、取り扱い物、営業業態によってその種類は多岐にわたります。
以下にて法律にて定められている許可を一覧にしております。
業務形態 |
許可の種類 |
調理業 |
• 飲食店営業 • 喫茶店営業 |
製造業 |
• 菓子製造業 • あん類製造業 • アイスクリーム類製造業 • 乳製品製造業 • 食肉製品製造業 • 魚肉ねり製品製造業 • 清涼飲料水製造業 • 乳酸菌飲料製造業 • 氷雪製造業 • 食用油脂製造業 • マーガリン又はシヨートニング製造業 • みそ製造業 • 醤油製造業 • ソース類製造業 • 酒類製造業 • 豆腐製造業 • 納豆製造業 • めん類製造業 • そうざい製造業 • 缶詰又は瓶詰食品製造業 • 添加物製造業 |
処理業 |
• 乳処理業 • 特別牛乳搾取処理業 • 集乳業 • 食肉処理業 • 食品の冷凍又は冷蔵業 • 食品の放射線照射業 |
販売業 |
• 乳類販売業 • 食肉販売業 • 魚介類販売業 • 魚介類せり売営業 • 氷雪販売業 |
飲食店営業・喫茶店営業と似たような営業許可がありますが、大きな違いは「アルコールや本格的な食事の提供ができるかどうか」となります。
飲食店営業では提供可能ですが、喫茶店営業では提供できませんので注意が必要です。
また、飲食店と同時にお菓子・ケーキなどのテイクアウトをやるならば、併せて「菓子製造業」の営業許可が必要になります。
このように、飲食店の他になにか他の営業形態を取り込もうとする場合は、飲食店営業許可以外に営業許可が必要になります。
営業許可の種類ではありませんが、バー、スナックのように食事よりも酒類の提供がメインの業態の店で、深夜0時以降に営業をしようとする場合は、「深夜における酒類提供飲食店営業開始届」の提出が義務づけられています。
2.許可を取るための要件
許可がおりるには、申請だけでなくお店の設備・人格的にもいくつかの要件を満たしている必要があります。以下にて説明します。
1.1 食品衛生責任者を配置すること
飲食店営業許可を取得するためには、食品衛生責任者を必ず配置する必要があります。
栄養士や調理師の資格のある人は食品衛生責任者になることができますが、それらの資格がない人は食品衛生責任者講習を受講する必要があります。
許可時に間に合わなければ、誓約書の提出で許可を得ることができますが、申請から3カ月以内に食品衛生責任者を配属させて届出をしないと、許可が取り消されることがあります。食品衛生責任者については、飲食店の構想段階から対応を検討しておきましょう。
1.2 客室から区切られた厨房を設けること
厨房はカウンターやスウィングドアなどで仕切られた区画が必要です。
それだけでなく、厨房の床の素材や流し台の大きさなどにも基準がありますので、申請時に確認することが必要です。
その他従業員の専用手洗い設備を設置することや、厨房とは離れた清潔な場所に更衣室を設けることなどが定められています。
1.3 便所を設けること
飲食店には客が使用する便所を設けなくてはいけません。配置は厨房に影響のない場所とし、専用の手洗い設備の設置が必要です。
3.申請許可書
営業許可申請書を管轄の都道府県・政令市等のホームページからダウンロードしましょう。申請書の名称は「営業許可申請書」もしくは「食品営業許可申請書」となっています。
1.1 営業設備の大要
飲食店営業許可書の様式をダウンロードすると「営業設備の大要」という様式が同時に出てきます。これは調理室や便所の仕様を記入するもので、ほぼ選択肢の中から選ぶ方式になっています。
裏面は図面(平面図と付近見取図)を記入することになっており、直接これに書く場合はボールペンを使用します。
1.2 食品衛生責任者の資格を証する書類の写し
食品衛生責任者は店舗ごとに必ず専任の人を配属しなくてはいけません。食品衛生責任者の講習修了者の他、栄養士、調理師製菓衛生師などの資格のある人も有資格者となります。
それぞれ該当する資格証の写しを添付し、未定の場合は、前述の誓約書を添付する必要があります。
1.3 水質検査証の写し
直結式の水道ではなく、ビルなどの高架水槽を使っている場合は、水質検査証の写しを添付する必要があり、ビルの管理会社や家主から入手する必要があります。
これは毎年の検査が義務づけられているものなので、1年以内の検査証の写しを添付する必要があります。
4.営業許可の申請は行政書士にお任せ
飲食店営業許可申請を自分でしようと思っていたけど、いざ手がけてみると煩雑で戸惑うことも多いかと思います。
そんなときは、行政書士事務所におまかせしてしまうのが良いでしょう。
当事務所でも営業許可申請を行っておりますので、ぜひ一度お問い合わせいただければと思います。