ビザ(在留資格)には在留期間が設けられており、その在留期間を一日でも過ぎるとオーバーステイ(不法滞在)の扱いになります。
そしてオーバーステイは違法ですので、摘発・強制送還の対象になります。
今回は、オーバーステイについて、解説していきたいと思います。
1.在留期限の決まり方
そもそも、どのような仕組みで在留期限が決まるのでしょうか。就労ビザにおける在留期間の決まり方について説明します。
1-1.納税や届出などの義務を果たしていないと短めになる傾向がある
在留期限は法務大臣が決めますが、「要観察」とみなされる要素があると、次の更新までの期間が短くなることがあります。
例えば、日本に在留している外国人が過去に税金の未納や滞納があった場合、在留資格に関する届出義務を果たさなかった場合、次に許可される在留期間は短くなる傾向にあります。
もちろん、犯罪行為も「要観察」とみなされる要素ですので、次に許可される在留期間が短くなります。大きな犯罪をした場合は、強制的に帰国(強制送還)となるケースもあります。
1-2.初回の許可は1年となることが多い
初回の資格の場合は、税金の未納や犯罪などの問題となる行動をしたことのない外国人であっても在留期間が1年となることが多いです。
また初回ではなく、在留期間の更新申請であっても、大して活動実績がない、という場合は1年になる傾向があります。
2.オーバーステイに対する罰則
では実際に上記の在留期間を過ぎてしまった場合、どのような罰則が課されるのでしょうか。
2-1.不法在留の外国人労働者への罰則
・退去強制
不法残留(オーバーステイ)している外国人を雇用している雇用主も罪(不法労働助長罪)に問われ、以下の罰則があります。
・3年以下の懲役若しく300万円以下の罰金
3.対応方法
在留期間が過ぎてしまった場合、以下のフローで対応していくことになります。
①出入国在留管理局に連絡する
在留カードが期限切れになっているのに気が付いたら、ただちに出入国管理局に電話して、事情を説明してください。
そして、これからすべきこと、提出が必要な書類などについてお問合せします。
②出入国在留管理局に本人が出頭する
出入国在留管理局への出頭指示がありますので、出頭します。
この時にできれば、日本人(職場の人、日本人の配偶者など)に同行してもらいましょう。
※出入国在留管理局へ持参するもの(参考)
- パスポート
- 在留カード
- 説明書(在留期間の更新を忘れた経緯、反省など)
4.出国命令制度
不法滞在している外国人は、入国管理局に身柄を収容され、日本から強制送還されることが原則となっています。
ただし、一定の要件を満たした人は、身柄を収容されることなく帰国できる制度があります。
それが出国命令制度です。
4-1.出国命令制度とは
不法残留(オーバーステイ)している外国人が、帰国を希望して入国管理局に出頭した場合で、一定の要件をクリアしていることで身柄を収容されることなく出国することができます。
出国命令により出国したときは、出国した日から1年間は日本に入国できません。(退去強制処分の場合は、5年間)
4-2.出国命令制度の要件
出国命令制度の適用を受けるためには、以下の要件を全て満たしている必要があります。
【出国命令の要件】
- 出国の意思をもって自ら入国管理官署に出頭したものであること
- 不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
- 窃盗罪等の一定の罪により懲役又は禁錮に処せられたものでないこと
- 過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
- 速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること
まとめ
以上、ビザ(在留資格)の期限が切れていたときの対処方法について説明させていただきました。
通常の更新・変更申請に比べ大変な手続きになり、精神的にも大きな負担がかかることと思います。ビザの更新は3カ月前から手続きすることができますので、早めの手続きを心がけてください。
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